いつまでも元気で健康な身体でいるためには、規則正しい生活習慣とバランスの良い食生活を送ることが大切です。そして、次に大切なことは体の不調を感じたら、「仕事が忙しいからなかなか時間が取れなくて・・・」「お医者さんはちょっと苦手で・・・」と思って先に延ばさずにできるだけ早めの受診をして下さい。
不安を抱えたまま毎日を過ごすのは、楽しいものではありませんし、早期発見、早期治療をして頂くことが回復への一番の早道です。当診療所は、地域のホームドクターとして皆様がいつも元気で頂けるように健康を守るお手伝いをさせて頂きます。
病気をお持ちの患者様はそれに対しての治療をされているわけですが、薬や注射等の医師からの治療ばかりでなく、患者様自身がされる自己治療も必要です。もちろん医師がご指導をいたしますが、ご自身が病気に対する知識を持っていただくことも大切です。
そこでこのコーナーでは色々な病気についての説明をいたしてゆきたいと考えています。そうすることが私自身の勉強にもなりますし、ご質問等あればメールをしてくだされば結構かと思います。
今回は第1回目として、肝臓病のお話をしたいと思います。肝臓はお腹の中で胃や腸を除くと最も大きな臓器です。重量は1.2~1.5kgもあります。糖やたんぱく質、脂質の合成、貯蔵のほか、物質の解毒にも関与し、その役割は重要です。さらに肝臓は予備能力の極めて大きい臓器で、正常肝であれば7分の6まで切除しても、人間は生存可能です。逆に言えば、人体で重要な役割を担う肝臓は、相当悪くならない限り自覚症状が出にくい沈黙の臓器であるということです。
どんな病気に対しても早期発見、早期治療が大切であるということは言うまでもありません。それでは、自覚症状の乏しい肝臓病に対しては、どう対応すれば良いのでしょうか。
肝臓病の有無を調べるには、まず血液検査をすることです。GOT (AST) GPT (ALT) γ―GTPは代表的な肝機能検査ですが、その他にも数多くの血液検査があり、肝臓病のある場合には、いずれかの検査が異常値を示す事が多いです。人間ドックや市民検診には肝機能検査が含まれますし、かかりつけの医師に検査してもらうのもよいでしょう。異常値が出たら、医師、できれば1度は専門医に相談してください。なぜなら、肝臓病といっても、その原因や病状の程度は人によって様々であり、当然人によって対応は全く異なるからです。
例えば脂肪肝とわかりますと、お酒を飲まなくて肥えている人ですと、ダイエットをしてやせてもらいます。しかし、お酒をたくさん飲む方ですと、禁酒が唯一の方法です。B型やC型などのウィルス性慢性肝炎では、直接型抗ウイルス薬を使うことを考えなくてはなりません。
一方、自己免疫性肝炎という特殊な肝炎では、以前にウイルス性肝炎の治療薬として用いられたインターフェロンを使うとかえって悪くなることがあります。このことからも、原因をはっきりさせることがいかに大切かがわかります。また、一般的に肝硬変では高たんぱく質の食事が勧められますが、肝性脳症という意識の障害のある肝硬変患者さんが高たんぱく質の食事をすると、症状は悪化します。この様に同じ病名でも病状によって対応を変えなくてはなりません。肝臓病の原因と病状をはっきりさせることが、すなわち適切な治療につながっていくということです。
消化液の一つに胆汁がありますが、これは肝臓でつくられ、肝臓内の胆管という管を通って一時的に胆のうに集められます。胆のうは胆汁の濃縮をおこない、食事などの刺激が加わると収縮し、胆のう内の胆汁は肝臓外の胆管を通って十二指腸に分泌されます。
胆のう内や胆管内に胆石やがんのような胆汁の流れを障害する病変がある場合、胆汁中に細菌が繁殖し炎症がおこる場合があります。この状態を胆のう炎、胆管炎といいます。
自覚症状は、急激な上腹部痛、発熱、黄だん、悪心、嘔吐などであり、重症例では意識障害やショック症状を伴います。
血液検査をすると、白血球数などの炎症をしめす数値が増加し、肝機能も異常になることが多いです。腹部超音波検査は侵襲がなく第一選択の検査法で、胆のう腫大あるいは萎縮、胆のう壁肥厚や胆管拡張所見の描出のほか結石やがんなどの原因疾患の診断にも有用です。X線CT検査でも同様の所見をとらえることができます。
一般療法としては、急性期には安静を守り絶飲食とし、十分な水分補給を点滴で行い、痛みに対しては鎮痛剤を用います。さらに、適切な抗生物質を使用することにより胆のう炎、胆管炎は軽快することが多いです。
しかしこのような治療をしても黄だんなどの症状が悪化する場合は、胆のうや胆管にチューブを入れて胆汁を体の外や腸に出す処置(ドレナージ術)が必要となります。
胆のう炎や胆管炎が改善しても原因疾患の治療がなされないと再発することが多く、手術などの根治治療を受けるほうがよいでしょう。
検診とは、何の自覚症状もない時期から、念のために体のどこかに故障がないか系統的にしらべ、将来の疾病の発生を予防することを目的として行うものです。さらに、治療すべき疾患を早期に発見して、早期治療へと導くことも第二の目標として重要なことです。
太田診療所では、皆様のご希望に応じて、種々の検診を受けていただけます。具体的には問診、診察、身長体重測定(肥満度)、尿検査、便潜血反応、血液検査、心電図検査、胸部レントゲン、腹部レントゲン、腹部超音波検査、骨塩定量検査、胃カメラ検査などを受けていただけます。今回は、これらの検診からどのようなことがわかるかを解説いたします。
1.肥満度:過度の肥満の方には心臓病、高血圧症、糖尿病、痛風、脂肪肝など、いわゆる生活習慣病(成人病)が多いことは統計が示しています。当院ではBMI(body mass index)を用い肥満度を判定しています。BMIが18.5以下は低体重、18.5~25.0は正常体重、25.0以上を肥満とし、肥満の方は積極的に減量する必要があります。
2.呼吸器:胸部レントゲン検査では、肺癌や肺結核、肺炎など呼吸器疾患の早期発見を目指すとともに、心臓肥大や肺うっ血など心臓疾患のサインの有無についてもチェックします。喀たん細胞診検査では喀たん中の悪性細胞の有無をしらべます。呼吸機能検査(スパイロメトリー)では慢性閉塞性肺疾患(COPD)の有無などを調べます。
3.循環器:血圧測定をし高血圧の有無を判定し、心電図で心筋肥大や不整脈の有無をしらべます。高血圧が長く続くと動脈硬化が促進され、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、腎不全など生命に直接かかわる危険につながりますので、高血圧と診断された方は、医師の指導下で塩分制限などの食事療法や運動療法さらには薬物療法を受ける必要があります。
4.消化管:胃カメラ検査で食道、胃、十二指腸の病変(潰瘍、炎症、ポリープ、腫瘍など)の有無を判定します。胃バリウム検査か胃カメラ検査かの選択は受診される方の自由ですが、検査の確実さや精密さでは胃カメラがはるかに勝り、組織検査も同時にできますので、当院では胃カメラ検査を行っています。大腸については、大腸ポリープや大腸癌は出血することが多いので、便の潜血反応検査をいたします。
5.肝臓、胆のう、すい臓:超音波検査(ゼリーをつけてお腹をなぞるだけの検査なので、無害で苦痛もありません)で観察します。肝臓ではその大きさ、脂肪の沈着や腫瘍性病変の有無、内部の血管や胆管の異常をみます。胆のうでは、胆石、ポリープ、腫瘍性病変の有無をみます。すい臓では、その大きさ、腫瘍性病変の有無、内部のすい管の異常をみます。肝臓の病気の種類は大変多いですが、代表的なものにはB型ウイルス性肝炎、C型ウイルス性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝障害などがあります。問診(現病歴、既往歴、家族歴、アルコール歴など)、診察、血液検査(GOT,GPT,γ-GTP,ALP,HBs抗原、HCV抗体など)と腹部超音波検査でこれらの肝臓病の発見が可能です。すい臓の血液検査であるアミラーゼはすい炎の診断に必須のものです。
6.腎臓、尿路:尿検査でたんぱく、潜血反応などを、血液検査では尿素窒素、クレアチニンなどをしらべます。腎臓の病気は自覚症状のないことが多く、これらの検査での早期発見が大切です。超音波検査では腎臓を観察し、結石、のう胞、腫瘍性病変などの検出に有効です。また男性には前立腺があり、ある程度の年齢以上になると肥大し排尿障害がおこることがあります。超音波検査で前立腺肥大の有無が判定できます。前立腺癌の早期発見のための血液検査にはPSA(前立腺特異抗原)があり、有用とされています。
7.血液系:貧血や白血球、血小板の異常の有無をしらべます。貧血の原因には消化管や婦人科疾患による出血や血液自体の病気などがあります。従って、貧血の治療は原因疾患によって異なります。白血球数や白血球分類の異常はなんらかの炎症や血液疾患で見られる所見です。いずれにしても、さらに精密検査が必要です。
8.糖代謝・脂質代謝・尿酸:糖尿病、高脂血症,高尿酸血症ともに早期や軽症のうちは何の症状もありませんが、一旦合併症を発症すると生命の危機にもつながります。ですから、早期にそれらの兆候を発見し、食事や日常生活などのライフスタイルを改善し、病気の発症を未然に防ぐことが大切です。そういう意味から検診が最も価値を持つ分野といえます。糖尿病は尿検査で尿糖を、血液検査で血糖、ヘモグロビンA1Cやフルクトサミン(血糖の平均値を示す指標)などを用い診断します。高脂血症、高尿酸血症は総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、尿酸値などを血液検査で調べます。
9.骨粗しょう症:閉経後の女性や65歳以上の男性で骨が弱くなり、骨折や腰痛をおこしやすくなる病態のことです。レントゲンを用いる骨塩定量検査などで診断します。
10.腫瘍マーカー:いわゆる、癌反応血液検査です。代表的なものにはAFP(主に肝臓癌)、CEA(肺癌、胃癌、大腸癌など)、CA19−9(すい臓癌、胆のう癌など)がありますが、そのほかにもたくさんの腫瘍マーカーがあります。ただし、すべての癌がこの反応だけで診断できるものではなく、また異常値が出ても必ずしも癌があるとは限りません。結果の読みについては、医師との相談が必要です。
以上、当院にて受けていただける検診について述べましたが、すべての検査を一時に受けるのはやや困難です。40歳以上の方で京都市国民健康保険加入者の方や75歳以上の京都市在住の京都府後期高齢者医療広域連合の被保険者の方は、特定健康診査をまずお受けになるのが良いかと思います。当院では一年を通じて、いつでも特定健康診査を受けていただけます。内容としては、問診、診察、尿検査、血液検査、身長体重測定(肥満度)、血圧測定、心電図検査(65歳以上)です。費用は500円ですが、65歳以上の方などは無料です。
人は老化とともに腰が痛くなったり、腰が曲がったり、背が低くなったり、さらには骨が折れやすくなったりします。この原因の一つに骨粗しょう症があります。
骨粗しょう症とは骨の中のカルシウム量(骨塩量)が減って、骨がスカスカになって、もろくなる病気です。骨塩量は老化とともに自然に減少しますが、いろいろな原因が加わり骨塩量がさらに減ると、骨粗しょう症という病気になります。
骨粗しょう症の原因のひとつはカルシウムの摂取不足です。カルシウムは骨を作るのに大切な成分ですから、十分にとってください。牛乳、チーズなどの乳製品、にぼし、えびなどの小魚類、のり、わかめなどの海藻類、とうふ、納豆などの大豆製品が良いでしょう。しかし、せっかくカルシウムをとってもビタミンDが不足すると、腸からカルシウムをうまく吸収できません。ビタミンDはしいたけ、えのき茸や、さば、まぐろなどの背の青い魚に多く含まれます。またビタミンDは人が日光にあたらなければ、体のなかで働けません。さらに、吸収されたカルシウムが骨に沈着するためには、骨に対する刺激や負荷が必要です。すなわち、ある程度の運動量がいるということです。
以上のことから、骨粗しょう症を予防するには、カルシウムとビタミンDをよくとり、昼間に屋外で運動することが大切であると言えそうです。
骨粗しょう症は女性に多く見られる病気です。なぜかというと、閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少が関係しているからです。エストロゲンは骨の形成を進めて、骨を溶かすのを防ぐ方向に作用します。したがって、閉経によってエストロゲンの分泌が減り、他のホルモンとのバランスが崩れると骨塩量が減り、骨粗しょう症になりやすくなるわけです。
ですから、腰痛などの自覚症状のある人、特に閉経後の女性は骨粗しょう症の検査(骨塩定量検査)を受けられることをお勧めします。当院では骨塩定量検査をいたしております。症状のない方も一度はお受け下さい。
治療についてですが、先に述べましたようにカルシウムとビタミンDの摂取、日光のもとでの運動が大切ですが、場合によってはお薬や注射が必要なときもあります。最適な治療をご相談の上決めてまいります。
動脈硬化とは、体の中の動脈の壁が分厚くなり、硬くなった状態をいいます。人は年齢とともに動脈硬化がだんだんと出現するものですが、動脈硬化の進行した動脈では、血管の内部が狭くなって血液の流れが悪くなったり、逆に動脈壁の弾力性がないために拡張したり、場合によっては破裂したりします。
このような動脈の変化は全身におこるもので、たとえば脳の動脈でおこると脳出血や脳梗塞、心臓の冠動脈では心筋梗塞や狭心症、大動脈では大動脈瘤、腎動脈では腎不全、末梢動脈では閉塞性動脈硬化症など、いわゆる動脈硬化性疾患の原因となります。いずれも命にかかわる大変な病気ばかりです。
ではどうしたら、それらの病気が予防できるでしょうか。動脈硬化の原因については、未だはっきりしたことはわかっていませんが、悪化の危険因子については色々な研究によってわかってきました。遺伝素因、加齢はもちろんですが、高脂血症、糖尿病、高血圧、肥満、喫煙、運動不足、ストレスによって動脈硬化が悪化することが明らかにされています。ですから、動脈硬化を予防しようとするなら、遺伝因子、加齢については避けようがないですが、その他の危険因子を排除することが重要であるといえます。
すなわち、糖尿病、高血圧、高脂血症のある人は動脈硬化症になる可能性が高く、動脈硬化症を予防するには糖尿病、高血圧、高脂血症をしっかりと治療する事が大切ということです。糖尿病、高血圧、高脂血症の各々についてはおって述べていく予定ですが、共通していえることがあります。肥満の方は体重の減量をすること、たばこをすう人は禁煙すること、適度の運動をし、精神的ストレスを取り除くこと、脂肪分の摂取をひかえること、などです。お薬については糖尿病、高血圧、高脂血症それぞれに色々な種類のものがあります。患者さんにあったお薬を医師と相談して決めましょう。
動脈硬化そのものの治療には、内科的には血流改善薬や血を固まりにくくする抗血小板薬などがあります。症状が進んだ例では外科的に各種バイパスを作ったり、動脈の狭くなったところをカテーテルなどを使って広げる治療があります。詳しくは各々の動脈硬化性疾患の病気のお話で述べたいと思います。
高血圧とは血圧が高すぎる状態をいいます。血圧は診療所や病院に行って測定するのが一番ですが、最近では良い自動血圧計ができていて、色々な公共スペースやご自宅でも簡単に測ることができるようになりました。ではどの位の血圧以上が高血圧になるのでしょうか。一般的には、最大血圧が140以上あるいは最小血圧が90以上で高血圧とします。日本では軽症の方も含めると60歳以上の方の約半数が高血圧であると考えられています。
このように高血圧の患者さんは大変に多いのですが、実はほとんどの患者さんで、その原因ははっきりとは分かっていません。この高血圧を本態性高血圧といい、高血圧の95%以上を占めます。残りの数%の患者さんでは、明らかなホルモン異常や腎臓の血管異常があり、それが原因で高血圧になります。この高血圧を二次性または症候性高血圧といいます。原因が取り除かれれば治る高血圧です。
高血圧を放置したり、治療が不十分な状態が続くと、動脈硬化がすすんで脳卒中や心筋梗塞など命にかかわる病気の原因になったり、心臓肥大や心不全をおこしたりします。これが高血圧の治療が必要な理由です。
若年者、中年者では血圧は130/85未満を目標値とし、糖尿病、腎臓病、心筋梗塞後患者では130/80未満とします。高齢者では年齢に応じて最大血圧は140~160未満を目標にしますが、最小血圧はどの年齢でも90未満にする必要があります。
血圧を下げるお薬にはいろいろな種類があり、どれを使用するかは患者さんの高血圧の程度、合併症の有無、年齢などを考慮して決定いたします。しかし、治療はお薬ばかりでなく、患者さんのできることのほうが重要かもしれません。まず、塩分を制限してください。1日の塩分摂取を6グラムに減らすと、最大血圧が6、最小血圧が4低下するといわれています。
逆に果物や生野菜に多く含まれるカリウムは血圧を下げる作用があります。次に肥満の人は減量しましょう。脂肪やコレステロールをひかえて、体重が4~5キロ減ると、血圧は明らかに降下します。適度な運動をしてください。毎日30~45分早歩きをすると、10週間後には最大血圧が11、最小血圧は6下がる事が示されています。しかし、無理は禁物です。アルコールは血圧を上げます。たばこは動脈硬化や肺疾患の原因となり、血圧にも悪影響を与えます。いずれもひかえましょう。
みぞおちや上腹部に痛みがおこる代表的な病気に胃かいよう、十二指腸かいようがあります。胃や十二指腸の粘膜にきずができる病気で、きずが大きかったり深かったりすると出血や穴があいたりすることがあります。そんな時には入院や手術が必要になります。しかし、ほとんどの場合、胃かいようや十二指腸かいようはお薬で治すことができます。
胃かいようや十二指腸かいようの原因については胃酸、ストレスなど色々なものがありますが、最近になり最も重要な原因が発見されました。それはヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)です。
胃の中では細菌は生きられないと長い間信じられていましたが、1983年オーストラリアの先生が世界で始めて胃の中で生きているピロリ菌を発見しました。その後の研究により、ピロリ菌が胃かいようや十二指腸かいようの原因のひとつであることがわかってきました。さらに、ピロリ菌が胃がんや胃のリンパ腫などの原因かもしれないとまでいわれるようになりました。
ですからピロリ菌を持っている方では、胃かいようや十二指腸かいようの治療はピロリ菌を退治するのが一番ということになります。幸い、ピロリ菌に良く効くお薬があり、1週間の服薬でかなりの確率でピロリ菌を退治することができます。
ピロリ菌がいるかどうかは、血液検査、呼気検査、胃カメラの時に採取する病理検査などで調べますが、腹痛などの症状のある方は胃かいようなどの病気の有無も調べられる胃カメラ検査をお勧めします。治療や検査の詳しいことは院長に直接お聞きください。
高脂血症とは、血液中の脂肪の量が異常に多くなった状態のことを言いますが、そのうちでもコレステロールや中性脂肪が多いときに、治療が必要になります。
コレステロール自体はホルモンやビタミンなどの原料ですし、また体内の細胞膜の素材となるものなので、人にとってはなくてはならないものです。中性脂肪は人間のエネルギー源なのでとっても大切です。ですからコレステロールすべてが悪いわけではありません。
コレステロールにも種類があり、血管にたまり動脈硬化(病気のお話5をお読みください)の原因になるLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や、その反対に血管や細胞にたまっていたのが肝臓に回収されるHDLコレステロール(善玉コレステロール)などがあります。また中性脂肪は直接血管にたまることはありませんが、中性脂肪の増加は、コレステロールが多くなくても動脈硬化の原因となります。このことから動脈硬化を予防するには、多すぎるLDLコレステロールと中性脂肪をおさえることとHDLコレステロールを増加させることが重要といえます。
治療の基本は食事療法と運動療法です。まず食事療法ですが、肥満のある方では特に食事の量を減らす事が必要です。標準体重を目指してください。さらにコレステロールを多く含む食事や食材はできるだけ避けるようにしなければなりません。卵、バター、レバー、たらこ、かずのこ、いか、するめなどは控えてください。甘いものは食べ過ぎると、中性脂肪が増え、HDLコレステロールが低下するのでほどほどにしましょう。果物、野菜には植物繊維が多く含まれ、コレステロールの排泄を促してくれます。早食いはたくさん食べる事につながります。ゆっくり、よくかんで食べましょう。やはり、アルコール、たばこはできるだけ控えてください。運動療法ですが、毎日の適度な運動、散歩、水中歩行、サイクリングなどは体重の減量にも良いですが、中性脂肪の低下、HDLコレステロールの増加効果を有します。
治療の目標値は年齢、性別、他の病気の有無などによって異なりますが、おおむね総コレステロールは220以下、中性脂肪は150以下、LDLコレステロールは140以下です。食事、運動療法では無理な時、お薬が必要です。コレステロールが多いのか、中性脂肪が多いのか、あるいは両方かによって、お薬は変わってきます。医師とご相談の上、お薬を服用して下さい。
病気のお話1~肝臓病~でお話ししましたように、肝臓に障害をおこす原因にはいろいろのものがあります。そのなかでも、検診や人間ドッグで最も多く見られる肝機能異常が脂肪肝です。
脂肪肝とは肝臓全体の3割以上の細胞のなかに中性脂肪がたまった病態であり、いわゆるフォアグラ状態です。肝臓の周囲に脂肪がついている状態ではありません。ですから、確定診断には肝臓の細胞を針でとる肝生検が一番ですが、簡単にできる検査ではありません。代わりにする簡単な検査が上の写真に示した腹部の超音波検査です。この写真は脂肪肝の患者さんのものですが、肝臓が腎臓にくらべて白く見えます。この所見は脂肪肝に特徴的なので、これだけで脂肪肝と診断してもほぼ間違いはありません。
脂肪肝の原因にはアルコール性と肥満や糖尿病などの過栄養状態にともなう非アルコール性があります。アルコール性のものは症状が進むと肝硬変になることもありますが、非アルコール性のものは肝硬変などの重い肝臓病になることはなく、肥満などの原因がなくなれば正常の肝臓になるとされてきました。
しかし、最近になりアルコールを全く飲まなくてもアルコール性脂肪肝のように病気が進んで肝硬変にまでなる人がいることがわかってきました。この病気を非アルコール性脂肪性肝炎とよび、非アルコール性脂肪肝の10%を占めます。非アルコール性脂肪性肝炎の原因はまだはっきりとはしていませんが、肥満や糖尿病が関係していることは確かなようです。ですから、脂肪肝と言って軽く考えず、初期からしっかりと治療してゆくことが大切です。
現在日本では約600万人の糖尿病患者さんがいます。特に40歳以上では10人に1人が糖尿病であるといわれており、まさに国民病と呼ぶにふさわしい状態です。
糖尿病とは血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高い状態が持続する病気です。すい臓から分泌されるインスリンというホルモンがこの血糖値のコントロールをしていますので、インスリンの分泌が減ったり、その働きが悪くなると糖尿病になります。
糖尿病自体の症状はのどの渇き、多飲、多尿、しんどさや体重減少などがありますが、もっと重大な症状はその合併症です。手足のしびれなどの神経症状、視力障害や失明をおこす網膜症、むくみや尿毒症をおこす腎症が糖尿病の三大合併症として有名です。そのほか脳卒中や心筋梗塞の原因となる動脈硬化も合併します。ですから、糖尿病を治療する目的はこれらの合併症の予防、改善ということになります。
糖尿病の治療の目標はとにかく血糖値を正常もしくはそれに近い状態に保つことです。血糖値のコントロールが良いほど合併症がでる心配は少なくなります。
糖尿病の治療の基本は食事療法と運動療法です。食事療法でよく患者さんに問われるのは、甘いものをひかえればよいのですか、ということです。確かに甘いものを制限することは必要ですが、最も大切なことは一日に食べるエネルギー(カロリー)を医師と相談して決め、それを実行することです。ほとんどの患者さんでは、今までより食事の量はへります。しかも、バランス良く食べることが大事です。運動療法は毎日無理なく続けられること、たとえば30分から1時間の散歩などが良いでしょう。肥満のある患者さんは体重の減量をはげみに続けてください。
食事、運動療法では十分に血糖値が下がらない場合は、患者さんにあった血糖値を下げるお薬やインスリン注射が必要になってきます。医師とよく相談しましょう。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
午前9:00~12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | / |
午後5:15~7:30 | ● | ● | ● | / | ● | / | / |