いつまでも元気で健康な身体でいるためには、規則正しい生活習慣とバランスの良い食生活を送ることが大切です。そして、次に大切なことは体の不調を感じたら、「仕事が忙しいからなかなか時間が取れなくて・・・」「お医者さんはちょっと苦手で・・・」と思って先に延ばさずにできるだけ早めの受診をして下さい。
不安を抱えたまま毎日を過ごすのは、楽しいものではありませんし、早期発見、早期治療をして頂くことが回復への一番の早道です。当診療所は、地域のホームドクターとして皆様がいつも元気で頂けるように健康を守るお手伝いをさせて頂きます。
すい臓はおなかの中でも胃の裏で背中にくっついた、長さ15cmでわずか80gほどの細長い臓器です。しかしその働きは重要で、まず食べたものを消化するのに不可欠なアミラーゼやリパーゼなどの消化酵素を含むすい液を分泌することです。もう一つの大切な役割はインスリンやグルカゴンという血糖を調節するホルモンなどをつくることです。
このすい臓に慢性的に炎症がおこり、細胞が障害されて線維がふえ、すい臓全体が硬くなった状態を慢性すい炎と呼びます。当然すい臓の働きは低下するので、脂肪やたんぱく質の消化や体の中への吸収が悪くなったり、糖尿病になったりします。しかし、一番の症状は腹痛です。食後しばらくしてからの上腹部の痛みが多く、背中や腰にも痛みがでます。痛み止めがなかなか効きにくく、吐き気や嘔吐がおこることもあります。胃の痛みと間違えやすく、胃カメラ検査をうけても何の異常もなかったという場合もあります。
慢性すい炎の原因で最も多いのが、アルコールです。アルコール性肝臓病は皆さんよくご存知ですが、肝機能障害がないからと言って安心せず、すい臓のことも気にかけてください。また、喫煙は明らかな増悪因子です。しかし、原因不明の特発性慢性すい炎も多く、まだまだこれからの研究が期待される分野です。最近、自己免疫性すい炎という特殊な慢性すい炎の存在が明らかになり、話題になっています。
診断ですが、お酒を飲んで腹痛がある人はまず血液検査をしてください。アミラーゼやリパーゼなどが高かったり、あるいは逆に低すぎたりする人は、慢性すい炎の疑いがあります。腹部超音波検査をしてすい臓の中に石が見えると、慢性すい炎と診断できます。すい管というすい臓のなかの管が太くなっていたり、すい臓内部や形がいびつに見えたりすると、慢性すい炎の疑いが濃いということになります。
治療ですが、残念ながら特効薬はありません。お酒を飲む方はまず禁酒が第一の治療になります。禁煙もしてコーヒー、香辛料、脂肪食の制限が必要です。またいろいろなストレスは慢性すい炎に悪影響をあたえるので、心身の安静や不安の解消も大切です。お薬による治療は患者さんによって違うので、医師と相談してください。
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